Bicycleケースに隠された生産年の印字

投稿者 :和泉圭佑 on

こんにちは、和泉です。

USPC社のデックが何年に生産されたかを知る方法はいくつかあります。類税シールに押された消印を見る、同封されているカレンダー(エキストラカード)を見る、などです。ただ類税シールは開封時に破られたり、几帳面な所有者の方が全部剥がして捨てたりして確認ができない場合がありますし、エキストラカードもトランプ本来の用途には不要なので処分されがちです。

なので一番手っ取り早いのは、スペードのAに記載されているHochman Codeと呼ばれるアルファベットを見ることです。誰でもできる簡単な年代の調べ方です。

しかしもうひとつ方法が存在します。それは、デックケースの側面を開けることです。

著名なマジシャンでありデックコレクターでもあるLee Asher師が2009年にアップした動画「Jerry's Nugget Playing Cards Hidden Secret」にて、1970年製Jerry's Nuggetのケースに製作年が印字されていることを発表しました。

これ以降、「箱を展開したJerry's Nuggetを額縁に入れて飾る」デックコレクターが出てきたりしたのですが、実はこの側面の印字はJerry's Nuggetだけでなく過去のBicycleデックにも行われていました。

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ひとつめはこちら、Bicycle Club Backです。側面にハッキリと1940と書かれております。つまり、このケースは1940年に作られたことを指します。

もちろん、あくまでこの年代はケースの年代です。昔のUncle Samだけでなく今のBicycleやTally-Hoもそうですが、外身のケースと中身のデックが別々の生産年になっていることは珍しい話ではありません。ケースの底に(c)2011とあっても中身が2018年製であったりします。これはケースを先に大量生産しているからです。かつて「OH表記のKY製デック」が存在した理由はこれです。

しかしケース側面の印字は大きな年代特定の手がかりになります。写真の通り、このClub Backは類税シールが残っているものの、シールの値段が10 Cents(1929年~1940年)なのかOne Pack(1940年~1965年)なのかわかりません。Hochman Codeはアルファベットの周期なので類税シールが何かがわからないと具体的な特定はできません。

しかし、それも側面の印字を見ればわかります。少なくともこのBicycle Club Backは1940年製頃のものだとわかりました(ちなみに1940年だと10 CentsなのかOne Packなのかわかりません。)

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ふたつめはこちら、Bicycle New Fan Back、類製シールはClass A(1919年~1924年)です。8-1というのはおそらく1月8日を指すと思われます。ちなみに消印が年だけでなく日付が載っているのは10 Cents(1929年)頃までのようです。

ご覧の通り、類税シールには1923と書かれてあります。どう考えても1923年製だとお思いでしょう。

しかし実際に見てみると、側面には1924と印字がされています。

これはおそらく1923年に類税シールをまとめて買っておいて、それを1924年に作ったこのデックに貼ったのでしょう。当時既に一日の生産個数は1万デックを超え、当然ながら類税シールは前もってまとめて購入してあったことでしょう。

よって、このデックは「1923年に取得した類税シールを1924年製デックに貼った」と言えます。側面の印字を見なければこのデックは1923年製だと勘違いしてしまったでしょう。

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筆者がなぜ側面の印字に気付いたかというと、当然「自分で開いたから」ではありません。100年近く前のデックを、しかもキレイな状態で残っているケースを自ら破ることなんて、とてもじゃないですができません。

しかしある日購入したデックが、実は糊が乾燥して剥がれかけていました。頑張ってめくれば年代は識別できましたが、とても全部剥がす気にはなれませんでした。仕方ないなとそのまま放置していたところ、完全に糊が剥がれて全貌が見えるようになったのです。

USPC者がケースの印字をいつからはじめたのか、いつ止めたのか、それはわかりません。しかし少なくとも1920年代~1940年代まではUSPC社はBicycleケースにこのような印字をしていたことはわかりました。

なお印字は片面にしか行われていません。反対側は白紙になっています。


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